ラッコの画像
ラッコとは
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ラッコ Enhydra lutris
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| 学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| Enhydra lutris (Linnaeus, 1758) |
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| 英名 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| Sea otter | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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現在および過去における分布域
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ラッコ(海獺、猟虎、学名:Enhydra lutris、英語名:Sea otter)は、食肉目(ネコ目)- イヌ亜目- クマ下目 (en)- イタチ科- カワウソ亜科- ラッコ属に分類される、中型の海棲哺乳類(1種)。本種のみでラッコ属を形成する。
イタチ科のうちで水棲に進化したのがカワウソ類(カワウソ亜科)であるが、その中から海洋に進出して、陸に依存しないでも棲息可能なまでの本格的な適応[1]を遂げた唯一の現生種[2]が、ラッコ属であり、ラッコである。氷河期を迎えた北太平洋西部海域におけるコンブの出現と適応放散がもたらした新たな生態系が、ラッコの出現および適応放散と密接に関係すると考えられている。
目次
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呼称
学名
ラッコに関する最初の学術的な記録は、博物学者ゲオルク・シュテラーの1751年のフィールドノートに記されており、学名は1758年、博物学者カール・フォン・リンネによって著書『自然の体系 (Systema Naturae) 』に記載されたことで正式のものとなった[3]。 元々の学名は Lutra marina (「海のカワウソ」の意[4])であり、転々と有効名を変えた後、1922年になってようやく現在の学名 Enhydra lutris が受け入れられた[5][6]。
属名 Enhydra は古典ギリシア語: εν 「~の中で、中に」 + ὕδωρ 「水」の合成[7]、 種小名 lutris はラテン語で「カワウソ」を意味する lutra より。 あわせて、おおざっぱに言って、「カワウソのような水中のもの」といった含意の命名であると言えよう。
日本語名
現在の標準和名「ラッコ」は、近世の日本における標準的な本草学名に由来し、さらにそれはアイヌ語で本種を意味する "rakko" にまで起源を辿れる。
日本語以外の諸言語名
英語では "sea otter" [8](意:海のカワウソ)の名が一般的に慣用されている(1655-1665年初出[8])。 学術的に用いられることが多いのは "sea beaver" (意:海のビーバー)である[9](ただし、この語が指すのはビーバー類ばかりということではない[9])。
生物的特徴
分類
- ITIS(統合分類学情報システム)データベース
- ラッコ属 Enhydra Fleming, 1822 :※外部リンク
- ラッコ Enhydra lutris (Linnaeus, 1758) :※外部リンク
- ラッコ属 Enhydra Fleming, 1822 :※外部リンク
下位分類
亜種として次の3種が知られている。体長、頭部、歯並びなどが異なっている[10][11]。 表記内容は左から順に、学名、標準和名、英語名、特記事項。
- Enhydra lutris kenyoni (Wilson, 1991) アラスカラッコ Alaskan sea otter, Northern sea otter
- :アリューシャン列島、アラスカに棲む[12]。アメリカ合衆国オレゴン州などに人工的に移されている[10]。他の2種の中間ぐらいの外観で、下顎骨が長い。学名は、ラッコ研究者のKarl W. Kenyonにちなんで付けられたものであるが、Kenyon自身はこれが亜種とは考えていなかった[13]。
- Enhydra lutris lutris (Linnaeus, 1758) アジアラッコ(チシマラッコ) Asian sea otter, Common sea otter、Kuril sea otter, Russian Sea otter, etc.
- :模式亜種。千島列島、コマンドルスキー諸島、太平洋西部に生息する[10]。亜種の中で最も体長が大きく、頭部が広く、鼻が小さいことが特徴である[12]。
- Enhydra lutris nereis (Merriam, 1904) カリフォルニアラッコ Californian sea otter, Southern sea otter
- :カリフォルニア州中部沿岸に見られる[10]。頭部が狭く長い。口吻が長く、歯が小さい[12]。
分布
千島列島、アラスカ、カリフォルニア州などの北太平洋沿岸に生息している。分布の北限は北極海の氷域であり、南限はカリフォルニアの「ジャイアントケルプ」の分布の南限と一致している。
保全状態評価
ENDANGERED (IUCN Red List Ver.3.1(2001))
絶滅危惧IA類(CR)(環境省レッドリスト)

[14]
- 北海道版レッドデータブック - 希少種
E. l. nareis
ワシントン条約附属書I類
形態
体長約55- 130cm、尾長約13- 33cm、体重約15- 45kgと、イタチ科最重量種である。尾は短く扁平。尾の基部には臭腺(肛門腺)を持たない。体毛密度が高く、哺乳類のなかでも最も高い部類に入る。8億本もの体毛が全身に生えており、これは6cm²の皮膚にヒトの頭髪すべてが生えているのと同等である。全身をくまなく毛繕いするために柔軟な体、皮膚を具えている。「綿毛」と呼ばれる柔らかい下毛が 1cm²あたり10万本以上密生している。水中に潜るときでも、綿毛の間に含まれた空気が断熱層となり、防寒の役目を果たしている。背面は濃褐色、頭部は淡褐色の体毛で被われる。吻部には洞毛が密生する。幼獣は全身が黄褐色、亜成獣は全身が濃褐色の体毛で被われる。
前肢は短く、後肢は大型。指趾の境目は不明瞭で、後肢は鰭状になる。
大臼歯は大型で丸みを帯び、固い獲物を噛み砕くことに適している。水分は海水を飲むことで補い、浄化のため腎臓の大きさはカワウソ類の平均的な大きさの2倍にもなる。
生態
海岸から10km以内の沿岸域に生息する。陸上に上がることは稀であるが、天候が荒れた日には上がることもある。数十頭からなる群れを形成し、生活する。昼行性で、夜間になると海藻を体に巻きつけて海流に流されないようにして休む。防寒効果を維持するため、頻繁に毛繕いをし、毛皮を清潔に保っている。幼獣の毛繕いは母親が行う。
食性は動物食で、魚類、貝類、甲殻類、ウニなどを捕食する。海中で獲物を捕らえ、水面まで運んでから食べる。貝類を食べる際には胸部に石や別の貝類を乗せ、それらに貝殻に打ちつけ叩き割ってから下顎の門歯で中身をこじ開けて食べる。サル目を除いた哺乳類では本種のみ道具を使う例が報告されている。亜種カリフォルニアラッコでは道具を使い貝類を割る行動が比較的確認されているものの、主に柔らかい獲物を食べる亜種アラスカラッコでは道具を使って貝類を割ることは稀とされる。なお、動物園などで飼育されているラッコの場合は自然界には無い道具を使用するほかに水槽のガラスに貝殻を叩きつけることも確認されており、日本の豊橋総合動植物公園では強化ガラスを叩きつけすぎて強化ガラスにヒビが入った例も確認されている。
ラッコが長く生息する海域ではウニが食い尽くされて、主に貝類を捕食するようになるといわれる。そういった生態から漁業被害を訴えられることもあるが、ウニが増えるとコンブなどの海藻が食い尽くされる弊害があり、ラッコが生息することでそれを防ぐ効果もある(キーストーン種#キーストーン捕食者のキーストーン捕食者の例も参照) 。
繁殖形態は胎生。交尾、出産は海上で行う。春になると雄は雌に交尾のアピールをし、雌の承諾が得られると並んで仰向けになって波間に浮かぶ。雄は交尾の際、体勢を維持するために雌の鼻を噛む。たいていはすぐに治る軽症で済むが、稀に傷が悪化し、食物を食べられなくなることなどで命を落としてしまうケースもある。雄は交尾が済むと別の雌を探しにいき、子育てに参加することはない。 妊娠期間はおよそ8- 9か月。1回に1頭、稀に2頭の幼獣を産む。腹の上に仔を乗せながら、海上で仔育てを行う。幼獣は親が狩りをしている間、波間に浮かんで親が戻ってくるのを待つ。このときは無防備になり、ホホジロザメに約1割の幼獣が捕食されてしまう。幼獣は親から食べられる物の区別や道具の使い方を習う。成長したラッコは気に入った特定の石を保持し、潜る際には錘(おもし)に使う。
人間との関係
毛皮が利用されることもあった。18世紀以降、ロシア人が極東に進出してきた理由の一つに本種の毛皮採集が挙げられる。 毛皮目的の乱獲により、20世紀初頭にはラッコの個体数は絶滅寸前にまで減少した。アラスカではカリフォルニアアシカが乱獲などによって激減したことで、それを主要な捕食対象としていた当海域のシャチが食うに困って対象をラッコにシフトし、これによって90%近くを捕食してしまうという事態も起きた。 その後、野生生物に対する意識が保護へと大変換する時代に入ると、ラッコは1911年に締結された国際的な保護条約(猟虎及膃肭獣保護国際条約)の対象となり、以後は生息数を徐々に回復していった。
1989年、アラスカのプリンスウィリアムス湾で超大型タンカー「エクソン・バルディーズ号」が座礁し、27万バレルの原油が流出するという事故があった。この事故によって約6,000頭のラッコが死亡したとされる(少なくとも1,016頭の死亡が確認されている)。鰭脚類などと比べると体が小さく皮下脂肪が相対的に薄いため、体毛が油で汚染されることで防寒効果が低下して凍死し、また、体毛の間に蓄えられた空気がなくなり、浮力が減少して溺死したのである。
アワビ、ウニなどを捕食する害獣と見なされることもある。国際条約などで保護動物となっている場合が多いので地域の都合で駆除などができない。
シートン動物記によると、本来は海辺で生活する陸棲動物であり、日光浴をしている群れをごく当たり前に見ることができたらしい。その頃は人間に対する警戒心も無かったため、瞬く間に狩り尽くされてしまい、現在のような生態になったと記されている。
日本における人間との関係
日本では平安時代には「独犴」の皮が陸奥国の交易雑物とされており、この独犴が本種を指すのではないかと言われている。陸奥国で獲れたのか、北海道方面から得たのかは不明である。江戸時代の地誌には、三陸海岸の気仙の海島に「海獺」が出るというものと[15]、見たことがないというものとがある[16]。かつて千島列島や北海道の襟裳岬から東部の沿岸に生息していたが、毛皮ブームにより、H・J・スノーらの手による乱獲によってほぼ絶滅してしまった。このため、明治時代には珍しい動物保護法「臘虎膃肭獣猟獲取締法(明治四十五年四月二十二日法律第二十一号)」が施行されている。
現在でも時折、千島列島などから来遊し、北海道東岸で目撃されることがあるが、定着するまでには到っていない。2003年頃から襟裳岬近海に、2010年頃から納沙布岬近海に、それぞれ1頭のラッコが定着したが、ウニなどを大量に食べることから漁業従事者は被害(食害)を問題視している。
ラッコを主題とした作品
- 童話『いたずらラッコのロッコ』 :1968年1月刊、神沢利子著、あかね書房。
- 『ぼのぼの』 :いがらしみきお作。1986年より連載中の漫画、および、それを原作とした映画等。
- 映画『ラッコ物語』 :1987年7月公開の東宝映画。永田貴士監督。声の出演 斉藤由貴等。
- 童話 『銀色ラッコのなみだ―北の海の物語』 :1996年5月刊、岡野薫子著、理論社。
- 随筆『ラッコの道標-ラッコが教えてくれた多様な価値観』 :2000年10月刊、中村元著、パロル舎。
脚注・出典
- ^ 本来の生態では陸上環境も利用していたが、ヒトの出現によってそれが不可能となった現世でも、海洋のみで生き延びている。
- ^ 絶滅種においてラッコ属に匹敵する海洋適応種の存在も考えられるが、少なくとも現在、そのような種は発見されていない。
- ^ “Final Washington State Sea Otter Recovery Plan”. Washington Department of Fish and Wildlife. 2007年11月29日閲覧。
- ^ ラテン語 "lutra", "marinus" (英語版ウィクショナリーの項目)
- ^ Love, p. 9
- ^ 出典のある地質学的記述の、言語学的誤りを修正。
- ^ なお、古代ギリシア語で「カワウソ」を指して ενυδρις (enydris) と呼び、語形・ 語義ともに類似するが、詳細は不明。
- ^ a b “sea otter” (en). Dictionary.com. 2010年5月10日閲覧。
- ^ a b Silverstein, p. 34
- ^ a b c d “Enhydra Lutis”. Animal Diversity Web. University of Michigan Museum of Zoology. 2007年11月24日閲覧。
- ^ Enhydra lutris (TSN 180547). ITIS. 2006年18 March参照.
- ^ a b c Wilson, Don. E. et al (1991 February). “Geographic Variation in Sea Otters, Enhydra lutris”. Journal of Mammalogy 72 (1): 22 - 36. DOI: 10.2307/1381977.
- ^ “Soundings: The Newsletter of the Monterey Bay Chapter of ACS”. American Cetacean Society Monterey Bay Chapter (June 2007). 2008年1月22日閲覧。
- ^ 環境省 「哺乳類レッドリスト 2007年版」 2007年8月(CSVファイル)。
- ^ 田辺希文 『奥羽観蹟聞老志』 巻之三(『仙台叢書奥羽観蹟聞老志』 仙台叢書刊行会、1928年。海獺の項は上巻81頁)。
- ^ 里見藤右衛門 『封内土産考』 1798年(寛政10年)頃(仙台叢書刊行会・編 『仙台叢書』 第3巻[1923年]に収録、海獺の項は454頁)。
参考文献
- 今泉吉典、松井孝爾監修 『原色ワイド図鑑』〈3〉動物、学習研究社、1984年、71、241頁。
- 今泉吉典監修、D・W・マクドナルド編 『動物大百科』〈1〉食肉類、平凡社、1986年3月、122、138-139、141、143頁。ISBN 978-4-5825-4501-2。
- 三浦慎悟 『小学館の図鑑NEO』〈1〉動物、小学館、2002年6月、59頁。ISBN 978-4-0921-7201-2。
- Love, John A. (1992). Sea Otters (en). Golden, Colorado: Fulcrum Publishing. ISBN 1-55591-123-4. OCLC 25747993.
- Nickerson, Roy (1989). Sea Otters, a Natural History and Guide (en). San Francisco, CA: Chronicle Books. ISBN 0-87701-567-8. OCLC 18414247.
- Silverstein, Alvin; Silverstein, Virginia and Robert (1995). The Sea Otter (en). Brookfield, Connecticut: The Millbrook Press, Inc.. ISBN 1-56294-418-5. OCLC 30436543.
関連項目
- イタチ科 - カワウソ亜科
- ラッコの保護活動
- クーちゃん
外部リンク
- CITES homepage
- Appendices I, II and III
- IUCN Red List - Home Page -
- Doroff, A. & Burdin, A. 2008. Enhydra lutris. In: IUCN 2009. IUCN Red List of Threatened Species. Version 2009.1.





















